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あるトランスジェンダーの職歴~「LGBT」体験談

2021.02.14

自分らしくLGBTらしく

あるトランスジェンダーの職歴~「LGBT」体験談

あるトランスジェンダーの職歴~「LGBT」体験談

「LGBT」当事者たちは、就労についてさまざまな困難や苦しみを経験しています。

特にトランスジェンダーは『性指向』だけではなく『性自認が身体と違う』ので、面接の時点からいくつもの困りごとがあります。

 

これまでのコラムでお話ししてきましたが、カミングアウトの問題、トイレの問題、トランスジェンダーへの理解、「LGBTフレンドリー」な企業かどうか、などたくさんの問題点があり、面接時に質問するにはカミングアウトをしなくてはならないし、カミングアウトをしたくなければさまざまな問題を我慢するしかないのです😔

 

そんな風にそれぞれ複雑な思いや事情を抱えて働いているトランスジェンダーがたくさんいます。

 

今回は、筆者の友人であるトランスセクシャルでFTMのTさんに、これまでの職歴と仕事での体験談を取材させてもらいました🎤

トランスジェンダーとして社会で働いてきた男の18~40歳までのリアルなお話しです。

希望を胸に抱いた新社会人

あるトランスジェンダーの職歴~「LGBT」体験談

Tさんは幼い頃から「ボーイッシュな女の子🧒」として見られていましたが、人見知りでおとなしい性格のため、特に自分を主張することなく、また女の子らしくないことを誰からも指摘されることなく思春期まで過ごしたそうです🏫

 

中学時代、高校時代は制服のスカートが嫌で嫌で「やっぱり自分は普通じゃない、おかしいんだ、きっと何か病気なんだ」と思い、さらに女の子しか好きになれないと自覚した時に「自分はやっぱり女性としては生きていけない!男になりたい!」と確信したのだそうです。

 

そして色々調べて情報を集め、「絶対、性別適合手術を受ける!」と決めたそうです💪✨

そのためには費用を貯めなくてはいけないので、高校3年生の就職活動では、職種よりも給料やボーナスが良いという理由で工場に決めました。

普通の女の子として就職し「夢を実現するためにこの会社で頑張ろう」と希望を持って社会に出たTさんですが、この先にさまざまな困難が待ち受けていようとは、この時は思いもしなかったそうです。

 

ただでさえ人見知りでコミュニケーションをとるのが苦手なのに、セクシャルマイノリティだなんて、Tさんはきっと私たちが想像するより大変な世界で生きているのだと思います😧

転職人生の始まり

あるトランスジェンダーの職歴~「LGBT」体験談

「俺、すげーいろんな仕事してきたよ」とTさんは言います。

なんと、Tさんは今まで12回も転職してきたそうです。

12回ってすごいですよね😲!

なぜそんなに転職しなくてはならなかったのでしょう。

詳しく聞くと、それはTさんのセクシュアリティの問題だけではなく、それによって形成された性格が大きく関係しているようでした。

Tさんは異常に人の目を気にします👀。そのため職場でも少し離れたところで誰かがヒソヒソ話していると「自分のこと何か言ってるんだ」と気になって仕方がないそうです。

 

被害妄想だと分かっていても、毎日周囲に対して気を張っているので疲れてしまい、そのため周りに溶け込めずに辞める選択をするのだそうです。

 

最初の工場勤務から2回転職して21歳の時、もう好奇の目で見られる面接が嫌で、人と接するのも嫌になり、23歳までの2年間、実家で引きこもリ生活をしていたそうです🏡

人生の岐路ばかり

あるトランスジェンダーの職歴~「LGBT」体験談

【Tさんの転職の軌跡】

製造工場(1年半)⇒居酒屋(半年)⇒コンビニ配送(1年)⇒引きこもり(2年)⇒

知人の紹介で保険屋(2年)⇒宅配サービス(半年)⇒仕出し弁当屋(1年)⇒

運送会社(1年)⇒運送会社(3年)⇒配送(2年)⇒コンビニ配送(半年)⇒

運送会社(1年)⇒塗装業(3年)⇒鉄工所(現在3年目)

 

これだけ転職してきたなかで、Tさんがカミングアウトをしたのは、ホルモン治療を始めて身体に変化が出てきた時に勤めていた生命保険会社だけだそうです🥺

 

髭が生えてきて骨格も変化してくるのでカミングアウトしましたが、周囲の反応は「やっぱり~、そうだと思った~」や「えーそうなの⁈びっくりしたけどTさんに変わりないよ」と表面上は受け入れてくれたけど、実際心の中はどう思っているかわからないとTさんは言います。

ホルモン治療でだいぶ男らしくなってきてもTさんは『自分は中途半端』と言う思いが消えず、どんな仕事をしても周りの目が気になって続かないのだそうです。

そして中途半端な時期だからこその困りごとは「トイレ」です🚻

見た目なんとなく女性っぽいのに髭生えてるし...男👨?女👩?という状態なので『トイレはどっちに入ったらいいんだろう』と悩むそうです💦

さらに変化が進んで、男子トイレに入ることに違和感がなくなっても、立ったまま用が足せるわけないので必ず個室に入らなければなりません。

一度会社の先輩に「Tクンはいつもウ〇コだな」と言われたそうです。

先輩に悪気はなく、いつも個室に入るTさんをからかっただけですが、Tさんは傷つき、それからはトイレを我慢するようになったのです。

その結果、膀胱炎になりその会社も退職したそうです。

男として働く

あるトランスジェンダーの職歴~「LGBT」体験談

その後Tさんはタイで『性別適合手術』を受け、戸籍変更をして男性として新たな人生をスタートさせたのです🏃‍♂️🌈

もう誰が見ても男性にしか見えないですし、名前も変えているので、面接でも困ることはありません◎

しかし、やはり力仕事になると「やっぱり本当の男とは違うんだ」ということを痛感するのだそうです。

 

今まで経験した仕事で、トランスジェンダーでも働きやすかった仕事は、トラックドライバーと現在の職場の鉄工所だそうです。

ドライバーは基本的に一人で荷物を積んで運び、降ろすのが仕事ですから、ほとんど人と関わらないので気が楽なんだそうです👌

 

今の職場は友人の紹介だそうですが、従業員11人と少なく、Tさんは溶接と製品の配達を主に任され、職場の雰囲気も和気あいあいとしていて、セクシュアリティについて悩むこともなく、とても居心地がいいそうです🤗

 

現在の職場で落ち着いたTさんですが、「誰が見ても男性」になるまでは本当に辛かったと、これまでの人生を振り返っていました。

 

きっと、トランスジェンダー、トランスセクシャルの人たちは多かれ少なかれこういう経験をしているのではないでしょうか。

乗り越えるには周りの環境も重要で、「理解してくれる人がいる」ということが当事者には救いになるのです。