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人事だけではない!会計にも影響する同一労働同一賃金(弁護士による「損害金・付加金」解説)

2020.04.08

同一労働同一賃金

人事だけではない!会計にも影響する同一労働同一賃金(弁護士による「損害金・付加金」解説)

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金について、正社員と非正規社員の手当の格差があった場合、後に差額分だけを支払うだけで済むとは限りません。実際の判例を見ると、遅延損害金や付加金という問題になる場合があります。

商法上の遅延損害金

従業員との間の雇用契約は商行為なので、商法が適用されます。賃金債権の未払に対して、会社は支払日から年6%の遅延損害金を支払わなければなりません(商法第514条)。裁判が長期化した上で負けることもありますが、裁判期間中は日々遅延損害金が発生しているのです。

裁判で命令が下ると、会社内の規程が間違いだったことになるので、「社内規程に従って支払っていた」という反論は通りません。商法上の遅延損害金は、後述の2つの制度とは異なり、在職中か否か、手当の種類を問わずに発生します。
さらに、令和2年4月1日からは、改正民法施行で商事法定利息が廃止されるので、民法所定の利率(改正当初は年3%)による遅延損害金となります。

 

賃確法上の遅延利息

もし退職した従業員が未払賃金を請求する場合には、「賃金の支払の確保等に関する法律」(以下「賃確法」)が適用されます。この未払い賃金には、勤務時に受け取っていた手当の種類は問いません。

賃確法は労働者退職時の賃金支払を適正化し、労働者の生活を安定させることを目的とする法律で、退職した従業員からの請求に対して会社は「退職日の翌日から年14.6%の遅延利息」を支払わなければなりません(同法第6条及び政令)。

この遅延損害金は支給日の翌日からなので、支給日の翌日から退職日までは商法の年6%、退職日の翌日からは賃確法の年14.6%になります。

労働基準法上の付加金

会社が解雇予告手当、休業手当、時間外・休日・深夜割増手当、年次有給休暇の賃金の支払いを怠った場合には、裁判所の裁量により付加金の支払が必要になる場合もあります(労働基準法第114条)。

付加金は未払額と同額ですので、最悪のケースになると会社の支払額は2倍になります。

同一労働同一賃金違反のケースでは、「手当」が争われることが多いと予想されますが、手当の内容によっては、時間外手当算出の賃金単価に含まれますので、悪質なケースでは付加金のリスクがあるのです。